■第1日目(8/7)

・開校式、オリエンテーション
・講演「子どもの心と鑑賞」 文化庁長官 河合隼雄氏
・ギャラリートーク見学
・グループワーク@ 作品の前で情報交換等 全8班
・情報交換会

●講演「子どもの心と鑑賞」  文化庁長官 河合隼雄氏

 短い時間ではありましたが、「子どもの目線で鑑賞を行う」ということについて、分かりやすくお話しいただきました。
この講演を聴いていると、反省ばかり。
 鑑賞の授業で、対話をやるとどおしても話しすぎてしまう。なかなか待てないことを本当に反省しました。
教師は教育を行う者、「教師」であることは簡単だが「育師」になることも忘れてはいけない、という言葉は、心に残りました。
「鑑賞では、子どもの見る目を育てたい、そのために心を開いて待つ。次の言葉が出るよう促す。」
「可能性に対して、そこに心開いた大人が周りにいるかどうかも大切。」
どれもハッとさせられる言葉でした。
この言葉を聞いた後、長野大会で発表予定の授業のビデオを見返して、かなり反省しました。
まったく駄目です。自分自身の作家への思いが強く、だれが見ても話しすぎ・・・。
でも、駄目な例として、長野では、臆せずに発表してきたいと思います。
しかし、そんな駄目授業でも、生徒の反応がよく、ありがたいくらいの感想が多かったのは、
やはり作品の力なんでしょうか・・・。本物を見る、触れる体験については、よかったのかもしれませんが・・・。

「作品の鑑賞、考えは自由、正解のない数少ない教科である。」
「芸術は、そのものが人の生き様。」
という言葉は勇気付けられました。私たちがやっている教科は、他の教科では体験できないことを、
堂々とやっていける教科である、と。私たちの教科は、他ならない、「豊かな人間性」を育てることに
間違いなくつながっているということ。
そして、美術館を利用しての鑑賞の大切さをあらためて感じました。
私が感じたこと。
主要5教科とかいうけれど、各県に一つ「数学館」なんて無い。でも「美術館」は各県に一つどころか、
私設も入れれば、もっとある。これを利用し、生かさない手はないでしょう。

★河合先生から薦められた物!

・九州国立博物館?で制作している鑑賞の絵本
・「クローディアの秘密」  岩波少年文庫    メトロポリタン美術館に家出をする少女の物語。



●ギャラリートーク見学


 8カ所に分かれて、都内の小中学生によるギャラリートークを自由に見学しました。
それぞれの場所には、その後のグループワークのファシリテーターの先生方がいて、
その先生方が中心に子どもに投げかけて、鑑賞を行っていました。
さすがに、小学生はよく発言するなぁ、と思いつつ、主に中学生の生徒を見ていました。
ギャラリートークの授業は、生徒の言葉に注目して聞くようにしているのですが、
今回は、生徒の動きに注目していました。
 私が主に見学した中学生は10名程度。最初は自由にフロアにある絵を見学して、
みんなとトークしたい作品を決めます。
 文教大学・三澤先生の流れの説明の後、解き放たれた生徒は、思い思いの絵に・・・。
はじめは、男子3人がずっと一緒に見て回ってました。お互いに意見を言いながら。
そして、ある絵の前で、一人の生徒が立ち止まってじっくり見だしたのをきっかけに、3人がばらばらに
なって、それぞれの気に入った絵の前で何やら考え始めたのです。じっくり向き合い始めたのです。
女子は、というと、やはり3人くらいで見始めたグループもいれば、はじめから一人で見ている生徒、
グループも、男子よりも早くばらけたのが面白かったです。
最終的にばらけたということは、みんな軽く友達の意見を聞いたりしても、
自分の観点に戻っていくのだな、と感じました。
 実は、この鑑賞、絵の題名は隠してあったので、それに左右されずに考えることができるようになっていました。
多くの大人たちに見守られながらのギャラリートークは、中学生にとっては大変だったと思います。
ご苦労様でした。


●グループワーク@ 作品の前で情報交換等 全8班

 グループワークの最終的な目標は、各班ごとに指定された作品の授業展開プログラムを作ることです。
私の参加したグループはFグループ。秋田や徳島、沖縄の先生方や美術館の学芸員の先生方、計17名でした。
ファシリテーターは、文教大学の三澤一実先生です。
この日は、自己紹介や鑑賞についてのフリートークでした。(あくまでFグループは。)
 各県から参加しているのですから、こんなに幅の広い情報交換の場はありません。
さて、鑑賞とは何か、というような話や、現状の厳しさなど、実にいろいろな話が出てきまして・・・正直、
ここでまとめられるものではありませんので、以下、翌日配布された記録よりPDFでご覧ください。
こういうのが一気にできるのが今回一番驚いたことかも知れません。
スタッフのみなさん、本当にありがとうございます!

急遽、デジカメでプリントを撮影したので、重くて分かりづらいかも知れませんが、ご了承ください。
発言集↓
hatsugen.pdf へのリンク
 

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